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基礎補強とは?必要な症状・工法・費用まで専門家が完全解説

基礎補強工事をしている作業中の画像

住宅の基礎は建物全体の荷重を支える最も重要な構造部分です。
しかし、築年数の経過や地震、施工条件などによって基礎にはさまざまな劣化が発生することがあります。

特に近年は築30年以上の住宅が増えていることもあり、次のような基礎トラブルの相談が増えています。

・基礎のひび割れ
・基礎沈下
・爆裂現象
・鉄筋腐食

こうした基礎の劣化を放置すると

・建物の傾き
・耐震性の低下
・建物寿命の短縮

などの重大な問題につながる可能性があります。

そのため、基礎の状態によっては 基礎補強工事を行い、基礎の構造強度を回復させる必要があります。

この記事では

・基礎補強とは何か
・基礎補強が必要な劣化症状
・基礎補強の工法
・基礎補強の費用
・基礎補強業者の選び方

などを専門的な視点から詳しく解説します。

住宅の基礎に不安がある方や、基礎補強を検討している方はぜひ参考にしてください。


目次

基礎補強とは

基礎補強とは、住宅や建物の基礎に発生した劣化や損傷に対して、構造的な強度を回復または向上させるために行う補強工事のことです。

住宅の基礎は主に

・コンクリート
・鉄筋

によって構成されており、建物の荷重を地盤に安全に伝える役割を担っています。

しかし

・基礎のひび割れ(クラック)
・鉄筋腐食(爆裂現象)
・コンクリート劣化(中性化・剥離)
・基礎沈下
・エフロレッセンス(白華)

一戸建ての外側基礎の爆裂現象で鉄筋が見えている画像

爆裂現象

エフロレッセンス(白華)

などが発生すると、基礎本来の強度が低下してしまいます。

その状態を放置すると建物全体の安全性に影響するため、状況に応じて補強工事を行う必要があります。

そのため、基礎の状態に応じて

  • 補強
  • 補修

といった対応を行う必要があります。


基礎補修との違い

基礎補強と似た言葉に「基礎補修」があります。

この2つは似ていますが、目的が異なります。

・基礎補修
劣化部分を修復する作業

・基礎補強
基礎の構造強度を回復または向上させる工事

例えば

軽微なひび割れ
→補修

構造的な問題(ひび割れの進行・鉄筋腐食など)
→補強

という判断になります。


基礎補強が必要になる主な症状

住宅の基礎補強が必要になる代表的な症状には次のようなものがあります。

基礎のひび割れ(クラック)

基礎に発生するひび割れは、最も多い基礎劣化の一つです。

基礎コンクリートに発生した縦方向のひび割れの画像

基礎のひび割れには次のような種類があります。

・0.2mm未満
ヘアクラック(構造上問題ないことが多いが、複数ある場合は注意)

・0.3mm以上
構造劣化の可能性あり

・0.5mm以上
補強工事が必要になる可能性が高い

特に0.3mm以上になると、雨水が内部に侵入しやすくなり、鉄筋腐食(爆裂現象)の原因になる可能性があります。

ひび割れの原因は

  • 経年劣化
  • 乾燥収縮
  • 地震
  • 塩害

などさまざまですが、

・斜めのひび割れ
・幅が広がっているひび割れ
・鉄筋が見えるひび割れ

などがある場合には特に注意が必要です。


基礎沈下

基礎沈下とは、建物や基礎が地盤の影響などによって沈み込んでしまう現象です。

基礎沈下が発生すると

・建物の傾き
・ドアや窓が閉まりにくい
・床の傾き

などの症状が現れることがあります。


爆裂現象

爆裂現象とは、コンクリート内部の鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートが剥がれ落ちる現象です。

床下の基礎が爆裂現象で崩れて鉄筋がほとんど見えて錆びてボロボロになっている画像

この状態になると

・鉄筋露出
・強度低下
・耐久性低下

などが発生します。

爆裂現象が発生している場合は、早期の補強工事が必要になるケースが多いです。


基礎が劣化する原因

基礎劣化の原因はさまざまですが、主なものは次の通りです。

経年劣化

コンクリートは非常に耐久性の高い材料ですが、長年の使用によって徐々に劣化していきます。

特に築30年以上の住宅では、基礎劣化が進行しているケースも少なくありません。


地震

日本は地震が多い国です。

地震によって基礎にひび割れが発生するケースもあります。

地震被害の場合、地震保険が適用される可能性もあります。


施工不良

施工時の

・鉄筋量不足
・コンクリート強度不足
・かぶり厚不足

などが原因となり、基礎劣化が早期に発生することがあります。


分・雨水の侵入

基礎のひび割れなどから雨水や湿気が侵入すると、コンクリート内部の鉄筋腐食が進行しやすくなります。

これにより基礎の耐久性や強度が低下する可能性があります。


コンクリートの中性化

コンクリートは空気中の二酸化炭素(CO₂)と反応することで中性化が進みます。

ですので、幹線道路沿いの住宅や都市部などでは中性化が進みやすい傾向があります。

中性化が進行すると内部の鉄筋を守るアルカリ性が失われ、鉄筋腐食やコンクリートのひび割れ・爆裂の原因になることがあります。


塩害

海沿いの地域などでは、塩分を含んだ潮風がコンクリート内部に浸透し、鉄筋の腐食を引き起こすことがあります。

鉄筋が腐食すると膨張し、コンクリートのひび割れや爆裂の原因になります。


基礎の劣化を放置するとどうなるか

基礎劣化を放置すると次のような問題が発生する可能性があります。

建物の傾き(建物の歪み)

基礎沈下などが進行すると建物全体に歪みが生じ、建物が傾くことがあります。

建物の傾きが発生すると、ドアや窓の開閉不良、床の傾き、外壁や内装のひび割れなど、住宅全体にさまざまな不具合が発生する可能性があります。


基礎の耐久性の低下

基礎のひび割れなどを放置すると、雨水や湿気が侵入しやすくなり、コンクリート内部の鉄筋腐食が進行する可能性が高まります。

鉄筋は腐食すると膨張するため、コンクリートのひび割れや爆裂現象が発生しやすくなり、基礎全体の耐久性が低下する原因になります。

結果、基礎が弱くなると建物全体の耐震性能が低下します。


修理費用の増加・資産価値の低下

基礎の劣化を放置すると症状が徐々に進行し、補修や補強にかかる工事費用が10倍以上になる可能性があります。

また、基礎に問題がある住宅は建物評価が下がることがあり、不動産としての資産価値が低下する原因にもなります。


基礎の補修・補強の主な工法

基礎の補修・補強にはさまざまな工法があります。

樹脂注入工法

樹脂注入工法とは、基礎コンクリートのひび割れ部分に専用の樹脂(エポキシ樹脂など)を注入し、ひび割れを内部から接着・補修する工法です。

樹脂がコンクリート内部まで浸透して固まることで、ひび割れの進行を抑え、基礎の強度や防水性を回復させることができます。

埼玉県比企郡嵐山町にある築44年の一戸建て住宅の床下にある無筋基礎コンクリートにエポキシ樹脂を注入してるところ

繊維補強工法

繊維補強工法とは、アラミド繊維や炭素繊維などの高強度繊維シートを基礎コンクリートに貼り付けて補強する工法です。

繊維が基礎表面を補強することで、ひび割れの拡大を抑え、基礎の強度や耐久性を向上させることができます。

栃木県小山市にある築39年の一戸建ての基礎補強工事のアラミド繊維貼り付け画像

コンクリート増し打ち

コンクリート増し打ちとは、既存の基礎コンクリートの外側や上部に新たにコンクリートを追加して施工し、基礎の厚みや強度を高める補強方法です。

劣化した基礎を補強し、建物を支える基礎全体の耐久性や強度を向上させることができます。


私たちがおすすめするハイブリッド工法(基礎補強)とは

ハイブリッド工法とは、複数の補強技術を組み合わせて行う基礎補強工法です。

住宅の基礎劣化は、ひび割れ・鉄筋腐食・爆裂など症状が複合的に発生するケースが多く、単一の補修方法では十分な強度回復が難しい場合があります。

そのため、樹脂注入・鉄の5倍〜8倍(使用材料による)の引張強度をもつアラミド繊維シート・表面補強・中性化抑止などを組み合わせて施工し、基礎全体の耐久性と構造強度を効果的に回復させるのが特徴です。

住宅を解体せず施工が可能で、既存の基礎を活用し、短期間の施工で高い補強効果が得られる最新の工法です。

基礎補強の流れとして、プライマーと補強材を塗り、アラミド繊維シートを貼って補強材で仕上げる工程を示した断面図

基礎補強(ハイブリッド工法)や基礎補修の費用目安

基礎補強や補修の費用は、劣化の状態や補強方法、施工範囲によって大きく変わります。

一般的な住宅の基礎補強では、次のような費用が目安となります。

ひび割れ補修

ひび割れに対する補修は比較的軽微な工事であり、費用はある程度抑えられます。

費用目安
5万円〜30万円程度

ただし、ひび割れの本数や長さによって費用は変わります。

また、構造的な問題がある場合は補強工事が必要になることもあります。


部分的な基礎補強

基礎の一部に劣化が発生している場合、部分補強を行うケースがあります。

費用目安

10万円〜80万円程度

補強範囲や工法、材料などによって費用は大きく変わります。


全面基礎補強

基礎全体に劣化が進行している場合は、全面補強工事を行うことがあります。

費用目安

100万円〜300万円程度

建物の大きさや補強工法によって費用は変動します。


基礎補強の施工事例

基礎補強を検討する際は、実際の施工事例を確認することが重要です。

施工事例を見ることで

・どのような症状だったのか
・どのような工法で補強したのか
・施工後の状態

などを具体的に理解することができます。

また、施工事例が多い業者ほど経験が豊富である可能性が高いです。


基礎補強業者の選び方

基礎補強工事は専門性の高い工事です。

業者選びを間違えると、適切な補強が行われない可能性もあります。

信頼できる業者を選ぶためには、次のポイントを確認しましょう。


基礎補強の専門知識

基礎補強は一般的なリフォーム工事とは異なり、構造に関する専門知識が必要です。

基礎補強の経験が豊富な専門業者に依頼することが重要です。

基礎補強以外の工事をメインでやっている会社(外壁塗装、水道や配管、シロアリ業者など)は注意して詳しく調べる必要があります。


施工実績

施工実績が多い業者は、それだけ経験が豊富である可能性が高いです。

施工事例を公開している業者は信頼性の判断材料になります。


工法の種類

基礎補強にはさまざまな工法があります。

未熟な職人が安価で粗悪な素材を使った工法の場合、基礎補強した部分がそのまま剥がれ落ちるケースもあります。

建物の状態に応じて最適な工法、工程を提案できる業者を選ぶことが大切です。


基礎補強のよくある質問(FAQ)

ここでは基礎補強に関してよくある質問を紹介します。(気になる質問があったらタップすると回答が出てきます。)

Q. 基礎補強とはどのような工事ですか?

A. 基礎補強とは、住宅の基礎に発生したひび割れや沈下などの劣化に対して、構造的な強度を回復または向上させるために行う工事のことです。
コンクリート基礎の補修や補強を行うことで、建物の安全性や耐久性を維持することができます。


Q. 基礎補強はいくらくらいかかりますか?

A. 基礎補強の費用は症状や工法、施工箇所によって大きく異なります。
軽微なひび割れ補修であれば数万円程度で済む場合もありますが、基礎全体の補強工事になると100万円以上かかるケースもあり、金額にとても幅があります。
具体的な費用に関しては、基礎の状態や工法、施工する場所などを専門業者と相談しましょう。


Q. 基礎のひび割れは放置しても大丈夫ですか?

A. 幅が0.2mm未満のヘアクラックであれば大きな問題にならないこともあります。(複数ある場合は注意が必要)
ただし、基礎のひび割れ幅が0.3mm以上ある場合や斜めに発生している場合は、構造的な問題がある可能性があるため専門業者による点検をおすすめします。


Q. 基礎の爆裂はどれくらい危険ですか?

A. 爆裂現象はコンクリート内部の鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートが剥がれる現象です。
鉄筋が露出している場合は基礎強度が低下している可能性があるため、早めの補修や補強が必要になります。


Q. 基礎補強は築何年くらいから必要になりますか?

A. 一般的には築30年以上の住宅で基礎の劣化が見られるケースが増えます。
ただし、施工条件や地震の影響によっては築20年前後でも補強が必要になる場合があります。


Q. 築40年以上の住宅でも基礎補強できますか?

A. 可能です。

築年数が古い住宅でも、適切な補強工事を行うことで基礎の強度を回復させることができます。


Q. 基礎補強工事はどれくらいの期間がかかりますか?

A. 工事内容やお家の広さなどによって異なりますが、軽微な補修であれば半日程度、部分補強であれば1日〜2日程度、基礎全体の補強工事になると2日〜5日程度かかるケースが多いです。


Q. 基礎補強は建物を解体する必要がありますか?

A. 多くの場合、建物を解体せずに施工することが可能です。
特に近年は既存の基礎を活かして補強する工法が多く、住みながら工事できるケースがほとんどです。


Q. 地震で基礎がひび割れた場合はどうすればよいですか?

A. 地震による基礎のひび割れは構造的な影響がある場合があります。
まずは専門業者による点検を行い、必要に応じて補修や補強を検討することが重要です。
また、被害の程度によっては地震保険が適用される場合もあります。


Q. 基礎補強はどのタイミングで行うべきですか?

A. ひび割れなどの劣化症状が見つかった時点で早めに対応することが重要です。
早期対応することで工事費用を抑えられる場合もあります。
今は基礎が劣化する前の新築から基礎補強を行う方も増えています。


Q. 基礎補強をすると住宅の寿命は延びますか?

A. 適切な補強工事を行うことで、基礎の耐久性を回復させることができます。
結果として住宅の寿命延長につながる可能性が高いです。


Q. 基礎補強はDIYでできますか?

A. 基礎補強は構造に関わる工事であり、専門知識が必要です。

A. 基礎補強は建物の構造に関わる重要な工事のため、DIYで行うことはおすすめできません。
適切な診断や施工が必要なため、専門業者に依頼することが重要です。


Q. 基礎補強は擁壁や外構のコンクリートにも必要ですか?

A. 擁壁や外構のコンクリート構造物でも、ひび割れや劣化が進行すると補強が必要になる場合があります。
ただし住宅基礎とは工法が異なることもあるため、より専門性の高い業者に相談することが重要です。


Q. 無筋コンクリート基礎でも補強できますか?

A. 無筋コンクリート基礎でも補強工事を行うことは可能です。
適切な補強工法を使用することで、既存基礎の強度を向上させることができます。

まとめ

基礎補強とは、住宅の基礎に発生した劣化や損傷に対して、構造的な強度を回復させるために行う工事です。

基礎の劣化には

・基礎のひび割れ(クラック)
・鉄筋腐食(爆裂現象)
・コンクリート劣化(中性化・剥離)
・基礎沈下
・エフロレッセンス(白華)

などがあります。

これらの症状を放置すると

・建物の傾き
・耐震性低下
・修理費用増加

などの問題につながる可能性があります。

住宅の基礎に不安がある場合は、早めに専門業者へ相談することが重要です。

適切な基礎補強を行うことで、住宅の安全性と耐久性を維持することができます。

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