【茨城県結城市|築36年】布基礎の一戸建て住宅で床下からアラミド繊維シートを使用した基礎補強の事例

茨城県結城市にある築36年の木造住宅にて、床下の基礎補強工事を担当しました。

現地調査で床下へ潜ると、土間コンクリートが打たれていない土むき出しの地面(布基礎)が広がり、手前には太いグレーの排水立管、すぐ脇には木製の束柱と束石が据えられていました。

築30年を超えた住宅ではごく標準的な床下構造ですが、結城市特有の湿気環境や、立ち上がりコンクリートの経年劣化を考慮すると、適切な補強が必要な状況でした。

この記事の結論
  • 築36年の布基礎では、地盤からの湿気対策とコンクリートの強度保持が重要
  • 配管や木製束が密集する床下では、重機を使わず厚みも出ないアラミド繊維シート工法が合理的
  • 施工品質は下地処理(プライマー塗布)と繊維への樹脂の完全含浸・脱泡で決まる
  • 既存の配管ルートや構造体を傷めず、耐震性とひび割れ防止を両立させた部分補強を実施
目次

茨城県結城市の地形的特徴と築36年住宅の床下基礎環境

茨城県結城市は鬼怒川水系に近く、平野部で農業用地も広がる地域です。

地下水位が比較的高めの場所も多く、昔ながらの「布基礎+土むき出し」の床下構造では、土壌から蒸発する水分が基礎や土台まわりに滞留しやすい傾向があります。

今回の建物は1990年前後に建てられた築36年の住宅です。

新耐震基準以降の建物ではあるものの、現在の基礎のように底面全体にコンクリートを打設するベタ基礎ではなく、立ち上がり部分のみがコンクリートで造られた布基礎でした。

床下の地面には土塊や小石が転がり、換気口付近から外気は入るものの、梅雨時や夏場には湿気がこもりやすい気配がありました。

基礎コンクリートの表面を打診・目視で確認したところ、構造を揺るがすような大規模な沈下や爆裂現象までは至っていませんでしたが、経年による表面の中性化進行と微細なクラックが見受けられました。

土台の木材にも過去の湿気滞留による色褪せが確認でき、放置すれば基礎コンクリートの引っ張り強度の低下が進む懸念がありました。

なぜアラミド繊維シートによる基礎補強を選んだのか

基礎の補強工法には、外側や内側に鉄筋コンクリートを増設する「抱き合わせ基礎増設工法」や、鋼板を当てる工法など複数の選択肢があります。

しかし、今回の現場ではそれらの大がかりな工法は適していませんでした。

排水配管が基礎のすぐ手前を立ち上がっており、左側には床を支える木製の束柱が近接しています。
コンクリートを打ち増すための型枠を組むスペースすら確保できない場所でした。

そこで選定したのが「アラミド繊維シート補強工法」です。

アラミド繊維は、防弾チョッキ、橋梁の耐震補強などにも用いられる高強度繊維です。
引っ張り強度は鉄の数倍におよびながら、非常に薄く軽量という特性を持っています。

今回の現場において、アラミド繊維シートを選んだ理由は主に3点あります。

  • わずか数ミリの厚みで施工できるため、近接する排水管や束柱を移設・撤去せずにそのまま補強できる
  • 床下という極めて狭い空間に大型機材を持ち込まず、手作業で均一な施工品質を確保できる
  • 基礎立ち上がりの表面に強固に接着・一体化させることで、地震時の横揺れに対するせん断力と曲げ強度を大幅に引き上げられる

単にひび割れを埋めるだけの表面補修ではなく、基礎自体の耐震性能を回復・底上げするための工法判断でした。

施工手順:下地処理から上塗り仕上げまで

実際の施工は、湿気の多い床下環境とコンクリートの状態に合わせた工程で進めました。

補強前
STEP
下地処理とエポキシ系プライマーの塗布

まず基礎表面のホコリ、脆弱化したレイタンス層、付着した土汚れを念入りに除去しました。

下地が汚れたままでは樹脂が密着しないため、この工程が全体の耐久性を左右します。
その後、浸透性の高いエポキシ系プライマーを立ち上がり全面へ均一に塗布しました。

コンクリート内部へプライマーを吸わせることで、下地を固めつつ樹脂の接着力を確保します。

STEP
中塗りとアラミド繊維シートの貼り付け

プライマーの硬化後、専用の中塗り剤を塗布し、所定の幅にカットした黄色のメッシュ状アラミド繊維シートを基礎立ち上がりの中央へ真っ直ぐ貼り付けました。

シートの表面から繊維の隙間に樹脂を完全に染み込ませながら、気泡を外へ押し出す「脱泡(だっぽう)作業」を行いました。

気泡が残ると強度が落ちるため、入隅部分や配管の裏側まで細かく貼り付けました。

STEP
保護補強剤の上塗りの塗布・完了

含浸樹脂が硬化し、繊維とコンクリートが完全に一体化したことを確認した上で、表面の保護補強のための上塗り剤を厚みを持たせて塗布しました。

これにより、紫外線や床下の湿気、空気中の炭酸ガスからアラミド繊維と基礎コンクリートを長期にわたって保護します。

仕上がり面は、下地のアラミドメッシュの凹凸がわずかに感じられる程度に平滑で、ムラなく保護膜が形成されている状態を確認して施工を完了しました。

よくある質問(FAQ)

築36年で土むき出しの床下ですが、アラミド繊維シートを貼る前に土間コンクリートを打つ必要はありませんか?

必ずしも土間コンクリートを打つ必要はありません。
もちろん土間コンクリートを新設すれば防湿効果は高まりますが、費用と工期が大幅に増えます。

基礎立ち上がり自体の耐震性・ひび割れ対策を目的とするのであれば、土壌をそのままに布基礎の立ち上がり部分のみをアラミド繊維シートで補強する工法が、費用を抑えつつ構造耐力を高める有効な手段となります。

排水管や給水管が基礎のすぐ近くに通っていても施工できますか?

今回の事例のように、基礎のすぐ手前に排水立管がある状態でも施工可能です。

厚さ数十センチのコンクリートを増設する工法では配管の切り回し(移設工事)が必要になりますが、アラミド繊維シート工法は厚みが数ミリ程度のため、配管を動かさずに隙間を通して施工できる強みがあります。

茨城県結城市のような湿気が多い地域でも、シートが剥がれてくる心配はありませんか?

正しい下地処理(ケレン・専用プライマー塗布)と施工行っていれば、湿気によってシートが自然に剥がれることはほぼありません。

樹脂がコンクリートの微細な孔に食い込んで固まるため、コンクリートと一体化します。

ただし、基礎表面が水浸しになっているような漏水現場では、先に漏水の原因を止める工事が必須となります。

アラミド繊維シートの補強は、基礎の外側と内側のどちらに施工するのが良いですか?

建物の周囲環境や基礎の状態によって判断します。

外側に化粧モルタルや障害物(給湯器、エアコン室外機、犬走りなど)が多い場合は、今回のように床下の内側から施工する方が基礎本体に直接密着させやすく、天候の影響も受けずに安定した品質で施工できます。

外側・内側のどちらが適しているかは、現地調査での障害物の位置関係や劣化箇所の確認によって決まります。

まとめ:築36年の基礎補強における判断基準

今回の茨城県結城市の事例では、築36年という年数、土が露出した床下環境、そして基礎近辺の排水管や束柱という物理的制約を踏まえ、アラミド繊維シートによる基礎立ち上がりの補強を選択しました。

住宅の基礎補強は、どの現場でも同じ工法を当てはめれば良いというものではありません。
基礎の形状、床下の障害物の有無、湿気や劣化の度合いによって、採るべき工法や施工範囲は大きく変わります。

もし訪問業者や工務店から基礎のひび割れや耐震性を指摘され、「すぐに全体を打ち直さないと危ない」「高額な工事しか方法がない」と言われた場合でも、慌てて契約する必要はありません。

建物の構造と現場の条件に合致した、過不足のない選択肢が存在するかどうか、客観的な視点から冷静に見極めることが大切です。

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