【栃木県栃木市|築21年】基礎ひび割れをアラミド繊維シートで補強した施工事例

栃木県栃木市に建つ築21年の木造住宅にて、床下の基礎点検と補強工事を実施しました。

床下に進入して基礎立ち上がり部分を確認したところ、表面に経年変化による微細なひび割れ(ヘアクラック)と表層の摩耗が各所に見受けられました。

住宅を支える土台として構造的な強度を保ち続けるため、建物を壊さずに耐力を高められるアラミド繊維シート補強工法を採用しています。

この記事の結論
  • 築21年を迎えた栃木県栃木市の木造住宅において、基礎コンクリートの耐力向上を目的とした補強工事を実施
  • 床下調査で確認された微細なひび割れや経年劣化に対し、引張強度の高いアラミド繊維シートを使用
  • 下塗り、中塗り、シート貼り付け、上塗りの4工程により、基礎のひび割れ拡大防止と耐震耐力の向上を両立
項目内容
施工地域栃木県栃木市
建物構造・築年数木造 / 築21年
基礎構造鉄筋コンクリート基礎(ベタ基礎)
確認された症状基礎立ち上がりの微細なひび割れ(ヘアクラック)、表面の経年劣化
採用工法アラミド繊維シート補強工法(下塗り+中塗り+シート貼り付け+上塗り)
目次

築21年を迎えた栃木市の木造住宅で確認された基礎の劣化状況

今回の建物は、2000年の建築基準法改正以降に建てられた築21年の住宅です。

この年代の住宅は地盤調査に基づいた設計が行われ、基礎全体に鉄筋コンクリートの耐圧盤を設ける「ベタ基礎」が多く普及した時期にあたります。

基礎内部に鉄筋が配筋されているため一定の強度は備わっているものの、築20年を超えるとコンクリート自体の乾燥収縮や日常的な荷重の蓄積により、立ち上がり部分に細かなクラックが発生しやすくなります。

栃木市周辺は、夏場に湿度が上がりやすくゲリラ豪雨などの降雨が多い一方、冬場は内陸特有の乾燥した冷え込みと強いからっ風に見舞われます。

年間を通じた寒暖差や湿度変化は、床下空間の基礎コンクリートに対しても微細な伸縮ストレスを与え続ける要因となります。

基礎立ち上がりの表面には、幅0.3mm未満のヘアークラックが複数箇所で確認されました。

この段階では構造的な致命傷とは言えないものの、放置すれば床下の湿気を取り込んで中性化が進行し、将来的に内部鉄筋の防錆環境を損なう恐れがあります。

土台となる基礎や木材の健全性を長期的に維持するため、早期の予防保全が望ましい状態でした。

耐震性能と基礎耐力を高めるアラミド繊維シート工法を選んだ理由

コンクリートという材料は、上からの重さに耐える「圧縮強度」には優れていますが、引っ張られる力である「引張強度」は圧縮強度の10分の1程度しかありません。

地震の揺れや地盤の微小な変位によって基礎に曲げの力が加わると、ひび割れ部分に応力が集中して破断リスクが高まります。

基礎の耐力を補う従来工法としては、鉄筋を組んでコンクリートを打ち増す方法が存在します。

しかし、床下の限られた空間で生コンクリートを打設するには大掛かりな解体や重機の搬入が伴い、工期や建物への負担が避けられません。

そこで今回施工したのが「アラミド繊維シート工法」です。

  • 鋼鉄の数倍におよぶ極めて高い引張強度を持つ
  • 薄型かつ軽量で、既存の基礎形状や床下配管に柔軟に追従する
  • 繊維自体が腐食・錆びを起こさず、水分による劣化に強い
  • 重機を使わず床下作業のみで施工が完結する

基礎立ち上がりの側面にアラミド繊維シートを高強度エポキシ樹脂で密着させることで、コンクリートとシートが一体化します。

これにより、既存の基礎が持っているせん断耐力(横からのせん断力に耐える力)を大きく引き上げ、ひび割れの更なる広がりを物理的に抑え込むことが可能となります。

下塗りから上塗りまで4工程で進める基礎補強の手順

今回の現場では、下地と補強材の密着性を確実に発揮させるため、計4つの工程を順次実施しました。

補強前
STEP
下塗り(浸透性プライマーの塗布)

施工面に付着したホコリや微細な粉じんを清掃・除去した後、専用の下塗り材(プライマー)を均一に塗布します。

プライマーがコンクリートの微細孔に浸透して下地を強化し、次工程で使用する樹脂の密着性を高めます。

STEP
中塗り樹脂の塗布とアラミド繊維シートの貼り付け

プライマーの乾燥を確認後、接着層となるエポキシ系の中塗り樹脂を立ち上がり全体へしっかりと塗り込みます。

この樹脂が接着剤の役割を果たし、アラミド繊維シートをコンクリート躯体へ強固に緊結させます。

中塗り樹脂が硬化する前に、寸法に合わせて裁断したアラミド繊維シートを基礎壁面に圧着します。

シート内に空気が残ると強度が均一に伝わらないため、中心から外側へ気泡を押し出す「脱泡作業」を徹底して行いました。

STEP
上塗り(保護補強仕上げ)

シートの繊維間に樹脂を含浸させつつ、最表面に上塗り材を重ね塗りします。

アラミド繊維を湿気や摩耗から完全に密閉・保護し、長期的な耐久性を確保して施工完了となります。

床下には給排水管や電気配線が基礎のすぐ近くを通っている箇所もあります。

配管の裏側や入り隅(角の部分)はシートの浮きが生じやすいため、細やかな手作業による圧着が欠かせません。

シート貼り付け時は、繊維の目地がよじれたり気泡が噛んだりしないよう、角度と加減を細かく調整しながら密着させました。

築20年前後の基礎補強に関するよくある質問

築21年の基礎に生じた細かなひび割れはすぐに補強工事が必要ですか?

幅0.3mm未満の微細なひび割れであれば直ちに倒壊へ直結するわけではありませんが、放置すると雨水や湿気の浸入によってコンクリートの劣化が徐々に進みます。

本事例のように築20年を超えた段階で表面を補強しておくと、ひび割れの広がりを防ぎ、基礎本来の強度を長く保ち続けることにつながります。

床下の基礎補強工事を行う際、室内の床を解体する必要はありますか?

床下点検口や床下収納庫から作業員が進入できる構造であれば、床を壊さずに工事を行えます。

今回の現場でも点検口から資材を搬入し、普段の生活スペースに手を加えることなく床下内のみで下塗りから上塗りまでの全工程を終えています。

栃木市のように寒暖差が大きい地域でもシートが剥がれる心配はありませんか?

専用のエポキシ樹脂を用いてコンクリートと一体化させるため、気温差や湿度変化による剥離の懸念はほとんどありません。

下地清掃とプライマー塗布を適切に行うことで、コンクリート母材と繊維が強固に接着され、安定した性能を維持します。

まとめ:築20年を超えた住宅は基礎の健全性の点検を

築21年を迎えた木造住宅において、基礎立ち上がりの経年劣化に対しアラミド繊維シートを用いた4工程の補強工事を実施しました。

ベタ基礎が標準化された年代の住宅であっても、20年という歳月の中で生じる細かなひび割れを早期にケアすることは、建物全体の寿命を延ばす上で有効な手段となります。

基礎の劣化状況や地盤条件によって、適切な改修方法はエポキシ樹脂の低圧注入で足りる場合もあれば、繊維シートによる耐力補強が必要な場合など様々です。

指摘された補強の提案が建物の実情に見合っているかを判断するためには、専門的な視点を取り入れた客観的な診断を比較検討することが役立ちます。

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