埼玉県鶴ヶ島市にある築54年の木造住宅にて、基礎補強工事を行いました。
昭和40年代に建てられた住宅の床下に入ると、経年によるコンクリートの劣化に加え、後から増設された排水管や、通気のための床下換気口が基礎の立ち上がりに密接している光景によく出会います。
平坦で何もない基礎壁面と比べ、障害物や開口部がある場所は作業スペースが極端に狭く、施工精度の差がはっきりと出やすい部位です。
今回は、換気口の下端や縦配管の裏側といった取り合い部分を重点的に捉え、アラミド繊維シートを用いて基礎の耐力を補った事例を紹介します。
- 築54年が経過した基礎に対し、開口部や配管が近接する立ち上がりにアラミド繊維シート補強を実施
- 換気口まわりや配管裏は隙間が狭いため、手作業による丁寧な施工を徹底
- 下塗りプライマーから上塗りのエポキシ樹脂まで含浸させることで、コンクリートと補強材を一体化
築54年・埼玉県鶴ヶ島市の現場状況と基礎の確認
鶴ヶ島市周辺の落ち着いた住宅地にある今回の現場は、築54年を迎えた木造住宅です。
床下に潜り込んで調査を行うと、布基礎の立ち上がりに換気口が設けられており、そのすぐ脇に上階からの排水と思われる縦配管が通っていました。
基礎コンクリート自体は経年相応に乾燥が進んでおり、細かなひび割れや表面の摩耗が見受けられます。
基礎に換気口が切られている部分は、コンクリートの厚み・高さが削られているため、地震などの横揺れに対して応力が集中しやすい構造的な弱点になりがちです。
さらに配管が基礎のすぐ手前を通っているため、基礎全体の増し打ち(外側にコンクリートを打ち足す工事)を行うには配管をすべて撤去・復旧しなければならず、現実的ではありませんでした。
そこで、現在の基礎の形状を維持したまま強度を補える補強工法を採用しました。
換気口と配管が近接する施工しにくい場所での基礎補強
基礎の補強工事において、何もない広い壁面を施工するのは比較的容易です。
しかし、今回の現場のように「換気口の開口部」と「立ち下がり配管」が重なる箇所は、少し難易度が上がります。
配管と基礎の隙間はわずか数センチしかなく、こうした狭小部では、以下のような点に注意を払いながら作業を進めます。
- 配管を傷つけないよう保護しつつ、裏側のコンクリート表面まで樹脂を行き渡らせる
- 換気口の角(開口部の隅)はひび割れが起きやすいため、シートの端部が浮かないよう割り振りを調整する
換気口の下や配管の裏側は、見えにくいからこそ感覚だけに頼らず、浮きや気泡がないか確かめながら作業を進める必要があります。
無理に配管を動かすと継手部分から水漏れを起こす危険があるため、配管の位置を保ったまま、いかに奥まで下処理剤と樹脂を密着させられるかが仕上がりを左右します。
アラミド繊維シートを選定した理由と施工工程
今回の現場では、基礎の立ち上がりに対して「アラミド繊維シート(25cm幅)」による連続繊維補強を行いました。
アラミド繊維は、引っ張る力に対して鋼材以上の強靭さを持つ素材です。
厚みが非常に薄いため、配管とのクリアランスがほとんどない場所でも、配管の移設工事を行わずに隙間へ滑り込ませて補強できる点が、この現場の条件に合致していました。

施工は以下の手順で進めました。
コンクリート表面のホコリや脆弱層を取り除いた後、下処理剤であるプライマーを塗布します。
乾燥した基礎コンクリートに樹脂を吸い込ませ、次工程の補強材との密着性を高める下地を作ります。

エポキシ樹脂系の保護・補強剤を立ち上がり面に塗布し、その上から25cm幅のアラミド繊維シートを伏せ込みます。
換気口の下部を通しつつ、配管の裏側もしっかりと押さえ込み、繊維の中に空気が残らないよう脱泡作業を繰り返します。

貼り付けたアラミド繊維シートの上から、さらに保護・補強剤を塗り重ねます。
繊維の網目の中に樹脂を完全に含浸させ、コンクリート・樹脂・アラミド繊維が一体となった強固な層を形成します。

中塗りとシートの貼り付け時には、樹脂が硬化を始める前にシートのヨレや浮きをすべて抜き取る必要があります。
特に配管の影になる部分は光が届きにくいため、照明を当てながら細部まで押さえ込みを行いました。
よくある質問(FAQ)
まとめ:障害物のある基礎こそ下地処理と丁寧な手作業が問われる
埼玉県鶴ヶ島市での築54年の基礎補強工事は、換気口や縦配管といった取り合い部分の納まりが焦点となる現場でした。
広い面にシートを貼ること自体は難しくありませんが、入り組んだ配管の裏側や開口部の隅をどう処理するかによって、補強の確実性は大きく変わります。
配管を傷つけずに裏側まで下地を整え、空気を残さずにシートを密着させる手作業の積み重ねが、年数を重ねた基礎を長持ちさせる基礎補強の基本です。
築年数が経過した住宅では、基礎の傷み方や床下の設備状況は1軒ごとにまったく異なります。
他社から「基礎のやり直しが必要」「この状態では工事ができない」と言われた場合でも、別の工法やアプローチで対応できるケースは珍しくありません。
住まいの基礎に不安を感じたときは、施工条件に合わせた柔軟な提案ができる専門窓口で、客観的な意見を聞いてみてください。
