さいたま市緑区にある築40年前後のビルにて、コンクリート階段および隣接する壁面部分の補強工事を行いました。
一般的な木造住宅の布基礎やベタ基礎とは異なり、今回はビルの階段まわりという少し珍しい箇所のご依頼です。
さいたま市緑区周辺でも、昭和後期に建てられた築40年前後の鉄骨造・RC造のビルやマンションでは、共用部の外階段や立ち上がりコンクリートの経年変化を気にされるオーナー様や管理会社様が少なくありません。
階段は人の出入りで日常的に荷重や振動が加わるうえ、屋外や半屋外に面していることが多く、雨風や外気の影響を直接受けやすい場所です。
今回の現場でも、コンクリート表面の経年による風化や変色が見られ、箇所ごとの形状や作業スペースに合わせた面的な補強を実施しました。
- さいたま市緑区の築40年前後のビルにて、コンクリート階段と壁面にアラミド繊維シートによる補強を実施
- 段差のある階段立ち上がり部には10〜75cm幅のシートを加工して貼り分け、平面の壁面には75cm幅になるようシートを複数使用
- 下処理剤で下地を固めたうえで、保護・補強剤による中塗り・上塗りでシートを密着固定
- 足場のジャッキベースや壁に囲まれた狭小スペースでも、養生と貼り付け作業の手順を工夫して施工
さいたま市緑区の現場状況と築40年前後のビル階段で見られた状態
さいたま市緑区は、古くからの住宅街と街道沿いの商業ビル・中低層マンションが混在している地域です。
特に開発が進んだ時期から40年前後が経過した建物では、建物本体の基礎だけでなく、階段やアプローチなどのコンクリート構造物が改修時期を迎えています。
今回の現場は、ビルの1階部分にあたるコンクリート階段の側面(立ち上がり部分)と、その奥にある四角いコンクリート壁面です。
施工前の階段部分を確認すると、蹴込み(段の立ち上がり)から側面にかけてブロックやモルタルの目地ラインが見え、全体的にコンクリートの表面が乾燥して経年によるくすみや色ムラが出ていました。
また、階段下の奥まった壁面部分も、長年の湿気や外気の影響からか表面に黒ずみや変色が確認できる状態でした。

こうした築40年前後の階段まわりは、今すぐ崩れるような大きな欠損がなくても、コンクリートの表面が少しずつ脆くなっています。
人の昇り降りによる振動が毎日伝わる場所だからこそ、表面をただ塗装するだけでなく、繊維シートで面として補強する方法を選びました。
階段の段差や狭小スペースでアラミド繊維シートを選んだ理由
今回の工事でメインに使用したのは、引張強度に優れた「アラミド繊維シート」です。
住宅の基礎補強でよく使われる材料ですが、今回のようなビルの階段補強でも大きな役割を果たします。
今回の階段の補強が通常の基礎工事と大きく違うのは、「凹凸や段差が多いこと」と「作業スペースの制限」です。
写真を見ると分かる通り、階段の手前には仮設足場の支柱(ジャッキベース)がすぐ近くに立っており、さらに階段の段差に合わせてコンクリートがL字型や階段状に折れ曲がっています。
ビルのコンクリート補強工事は外壁塗装などと一緒にやる方が多いので、基礎の専門家である私たちからすると足場があることは日常的な風景になります。
鉄板を当てたり大掛かりな型枠を組んでコンクリートを増し打ちしたりする方法では、通路幅が狭くなってしまううえ、こうした細かい段差や障害物周りの納まりが難しくなります。
その点、アラミド繊維シートであれば厚みがほとんど出ないため、階段の通路幅や段差の寸法を変えることなく補強が可能です。
施工箇所に応じたシート幅(10〜75cm)の使い分け
今回の現場で特に気を配ったのが、場所によるシート幅の使い分けです。
階段の段差部分と側面の立ち上がりがつながる箇所では、幅の広いシートをそのまま貼ろうとすると、角の部分でシワや浮きが発生してしまいます。アラミド繊維シートはコンクリートに隙間なく密着して初めて本来の強度を発揮するため、角の浮きは絶対に避けなければなりません。
そこで階段側面のエリアでは、10〜75cm幅のアラミド繊維シートを箇所ごとの寸法に合わせて使い分けました。一番下の細長い立ち上がり部分には細幅のシートを、その横の広い壁面部分には幅広のシートを配置し、L字の折れ曲がりや段差のラインに沿ってぴったり納まるように貼り付けています。
階段まわりは段差の角が多く、すぐ手前に足場の単管も立っていたので、シートを貼る前の採寸と養生に時間をかけました。
幅の違うシート(10〜75cm)を組み合わせることで、段差の立ち上がりから側面の壁まで浮きを作らずに一体化させています。
今回のコンクリート補強工事の施工手順
今回の現場で行った4つの工程を、実際の施工写真に沿ってまとめました。
階段側面も奥の壁面も、基本的な材料と塗り重ねの工程は同じ手順で進めています。
まずはコンクリート表面の汚れやホコリを落とし、樹脂がしっかり密着する状態を作ります。
階段の踏面(足を乗せる面)や床面、隣接する壁に樹脂が付着しないよう、施工範囲のフチに沿って緑色の養生テープを正確に貼り巡らせました。

養生が終わったら、下処理剤をローラーで全体に塗布します。
築40年前後の乾燥したコンクリート表面にプライマーを染み込ませることで、下地を固めるとともに、次に塗る樹脂とアラミド繊維シートの密着性を高めます。
塗った直後はコンクリート表面にしっとりとしたツヤが出ます。

プライマーの上から保護・補強剤を中塗りし、アラミド繊維シートを貼り付けていきます。
階段側面には10〜75cm幅のシートを形状に合わせて張り分け、奥の壁面には75cm幅になるよう25cm幅のシートを3枚貼り付けました。
黄色いアラミド繊維に樹脂が均一に浸透するよう、内部の空気を抜きながらローラーで丁寧に圧着していきます。

シートがしっかり密着したことを確認し、最後にもう一度保護・補強剤を上から塗り重ねます。
アラミド繊維シートを樹脂の層で挟み込む(サンドイッチする)ことで、紫外線や湿気から繊維を保護し、グレーの落ち着いた外観に仕上げて養生を剥がせば完了です。


施工後の写真を見ると、施工前に目立っていたブロック目地の段差感や表面の色ムラが消え、厚みのある保護・補強層で階段全体がすっきり覆われているのが分かります。
よくある質問(FAQ)
まとめ:ビルの階段など特殊な箇所のコンクリート劣化も補強は可能
さいたま市緑区で行った、築40年前後のビル階段およびコンクリート壁面の補強事例をご紹介しました。
今回のポイントを整理すると以下の通りです。
- 毎日荷重がかかる築40年前後の階段まわりは、表面の風化や目地の状態に合わせた面補強が有効
- 階段の段差やL字の形状には10〜75cm幅のシートを使い分け、箇所ごとに密着性を確保する
- 障害物が多い場所や狭い空間でも、下処理と保護・補強剤の工程行うことで均一な補強層を作れる
ビルの階段や変則的な形状のコンクリート部分は、業者によってはとても大変でやりたくないので、「塗装だけで十分」「やり替えが必要」など診断結果や見積もり内容が大きく分かれやすい箇所でもあります。
すでに他社から補修や補強の提案を受けている場合でも、建物の築年数や実際の劣化状況に対してその工法や施工範囲が本当に合っているのか、一度客観的な視点で確認してみることが大切です。
