愛知県あま市に建つ、築27年を迎えた住宅での施工事例です。
家を建ててから20年以上が経過すると、ふとした時に「土台や基礎は今のままで大丈夫なのだろうか」と気にかかる方も少なくありません。
特に床下は普段目にすることがないため、どのような状態になっているのか把握しづらい場所です。
今回は、床下空間に入って確認した基礎の状態と、それに合わせて実施したアラミド繊維シートによる補強工事の様子をお伝えします。
- 築27年の床下基礎コンクリートに見られた経年変化に対し、面で強度を高める補強を実施
- コンクリートの引張強度を補うため、25cm幅のアラミド繊維シートを採用
- 専用樹脂(下処理剤と保護・補強剤)を段階的に浸透させ、基礎とシートを完全に一体化
床下空間から見た築27年の基礎コンクリート
現場に到着し、床下へ入って基礎の立ち上がり部分を確認しました。
築27年という年月を経て、基礎コンクリートには表面的な変色や年数相応の経年変化が見られました。
コンクリートは新築時から少しずつ劣化し、環境によっては表面から中性化が進んでいきます。
今すぐに基礎が崩れてしまうような危険な状態ではありませんでしたが、コンクリート表面の劣化をそのままにしておくと、いずれ細かなひび割れ(クラック)が発生しやすくなります。
今回は、そうした将来的なリスクを抑え、基礎そのものの強度を高めるための施工を行いました。
なぜアラミド繊維シートでの補強を選んだのか
今回の現場では、基礎の立ち上がり部分に対して「アラミド繊維シート(25cm幅)」を貼り付ける工法を選択しました。
コンクリートという素材は、上からの重さ(圧縮)には非常に強い反面、横からの引っ張られる力(引張)には弱いという特徴を持っています。
地震などで建物が揺れた際、基礎には様々な方向から引っ張られる力がかかり、これがひび割れの原因になります。
鋼鉄の数倍の引張強度を持つとされるアラミド繊維シートを基礎の表面に貼り付け、専用の樹脂で固めることで、基礎を「面」として一体化させることができます。
局所的なひび割れ補修だけでなく、基礎全体の耐久性を底上げしたい場合に適した工法です。
実際の施工手順と現場での工夫
床下での作業はスペースが限られており、細かな手順を確実に踏んでいくことが仕上がりを左右します。
実際の施工の流れをご紹介します。

まずは基礎表面の清掃を行い、専用の下処理剤を塗布していきます。
これは基礎コンクリートの表面を強化し、次に貼るシートや樹脂との密着性を高めるための重要な工程です。

プライマーが適切に乾燥した後、保護・補強剤を塗りながら、25cm幅のアラミド繊維シートを基礎の立ち上がり部分に貼り付けていきます。

暗く狭い床下では、シートとコンクリートの間に空気が残らないよう、ライトで照らしながら丁寧に密着させていく手先の感覚が欠かせません。
シートが完全に密着したことを確認し、最後にもう一度保護・補強剤を上塗りして仕上げます。
これによりシートが樹脂の層に挟み込まれる形になり、強固な補強層が完成します。

よくある質問(FAQ)
まとめ:築27年の現状に合わせた基礎の強化
今回の愛知県あま市の事例では、築27年という経過年数を考慮し、表面的な劣化が見え始めた基礎コンクリートに対してアラミド繊維シートによる面補強を行いました。
ただ単に「古いから直す」のではなく、下塗り・中塗り・上塗りと適切な材料を組み合わせて施工することで、基礎の強度を上げた上で、引っ張りの力に対する抵抗力をしっかりと持たせることができました。
基礎という家の土台、床下という見えない場所だからこそ、現場の状況に合わせた確実な施工が求められます。
もし、基礎の劣化を不安視され、「このままで大丈夫なのだろうか」と迷われている場合は、基礎の専門家による客観的な視点を取り入れることも有効です。
現在の状態を正しく把握することが、適切な住まいづくりの第一歩となります。
