埼玉県ふじみ野市は武蔵野台地の上に位置しており、全体として比較的安定した地盤が広がる地域です。
ただ、地盤の揺れやすさとは別に、築24年という歳月が経過した木造住宅では、経年による乾燥収縮や日常的な振動の蓄積によって、基礎コンクリートの状態に変化が現れる時期でもあります。
今回点検に入った住宅でも、基礎の立ち上がり部分に補強の検討が必要な状態が確認されました。
床下に潜ると、補強を行いたい基礎のすぐ目の前を太いグレーの排水管と青い給水管が通っており、作業スペースが限られている状況でした。
配管を傷めず、かつ補強材をしっかり密着させるための現場判断が求められる現場でした。
- ふじみ野市のような比較的良好な地盤でも、築20年を超えると基礎自体の経年劣化が起こる
- 床下に配管が密集している箇所でも、適切な下地処理と丁寧な手作業でアラミド繊維シートの施工が行える
- 下地調整、シートの樹脂含浸、仕上げの保護補強という手順を確実に踏むことで基礎の強度を高める
埼玉県ふじみ野市の土地柄と築24年を迎えた基礎の状態
ふじみ野市周辺は台地上に位置するエリアが多く、軟弱地盤による不同沈下のリスクは比較的低いとされています。
しかし、基礎コンクリートそのものの劣化は、土地の強さだけで防げるものではありません。
2000年(平成12年)前後に建てられた木造住宅は、建築基準法の改正に伴い基礎の仕様も強化され始めた時期にあたります。
多くの住宅で鉄筋コンクリート基礎が採用されていますが、新築から24年ほど経つと、コンクリートが空気中の炭酸ガスに触れ続けることによる中性化や、細かなヘアクラック(微細なひび割れ)が見受けられるケースが増えてきます。
コンクリート内部の鉄筋を長期間守り、耐震性を維持していくためには、大きな破損が現れる前に適切な補修・補強を入れておくことが住まいの延命につながります。
排水管が近接する狭小部での施工判断
床下に入ってすぐ目に入ったのは、基礎立ち上がりのコーナー部分に沿うように立ち上がり、横へ曲がっている排水管でした。
配管とコンクリート基礎の隙間が数センチほどしかありませんでした。
配管を取り外さずに補強を進めるため、シートの差し込み方と道具の扱いには普段以上の慎重さが求められる現場でした。
基礎補強で広く用いられるアラミド繊維シートは、鉄以上の引っ張り強度を持つ強靭な繊維ですが、施工面が平滑でなければ十分な接着力を発揮しません。
配管の真裏にある基礎面は手が届きにくく、下地処理の研磨や清掃がおろそかになりやすい箇所です。
そこで今回は、配管を傷つけないよう入念にコンクリート表面の汚れを落とし、密着性を高める工夫を行いました。
障害物があるからといって手前だけで補強を終わらせてしまうと、基礎の連続性が途切れてしまいます。
配管の裏側までしっかりとシートを行き渡らせることが、今回の施工で特に重きを置いた点です。
基礎補強(アラミド繊維シート)の施工手順
実際の施工は、下地の状態を整えるところから段階を追って丁寧に進めていきました。

まずはコンクリート表面のホコリや汚れを落とし、アラミド繊維専用のエポキシ樹脂系プライマーを塗布します。
配管裏の隙間にも塗り残しが出ないよう、角度を変えながら均一に浸透させました。

プライマーが適度な状態になった後、中塗り用の保護・補強剤を塗布し、基礎の寸法に合わせて裁断したアラミド繊維シートを配置します。
配管の奥へシートを滑り込ませ、空気を押し出しながら、エポキシ樹脂を繊維の芯までしっかり染み込ませて基礎と一体化させます。

樹脂が硬化したのち、表面を保護するための保護補強材を塗布します。
配管の立ち上がり周辺も含めて全体を覆い、湿気や外気の影響を防ぐ強固な保護層を形成して完了となります。

施工後は、配管の裏側までムラなく覆われ、基礎の立ち上がり全体が滑らかに仕上がっている様子が確認できます。
配管まわりの補強で注意した現場のポイント
狭い床下、かつ設備配管が近接している場所での施工では、作業の確実性を保つために以下の点を徹底しました。
- 排水管や給水管に過度な力を加えないよう、接触を防ぎながら作業を進めたこと
- シートの裏側に空気が残る「浮き」をなくすため丁寧に密着させたこと
- 基礎のコーナー部分でシートが引っ張られて隙間ができないよう、角の形状に合わせてきれいに沿わせたこと
床下は場所によって環境が全く異なります。
広い空間であればスムーズに進む作業も、配管や束柱(床を支える柱)が入り組んだ場所では、状況に合わせた道具の使い分けと作業手順の組み立てが不可欠となります。
よくある質問(FAQ)
まとめ:配管まわりの基礎補強は現場での丁寧な施工判断が要になる
築24年を迎えた木造住宅では、外壁や屋根と同じように、普段は見えにくい床下の基礎コンクリートにも確実なメンテナンスが求められます。
特に配管が交差するような場所は、施工の手間がかかる分、職人の判断や丁寧さがそのまま仕上がりの品質に直結します。
基礎の状態や床下の配管状況は、一軒ごとにまったく異なります。
他社から基礎の劣化を指摘されて不安を感じた場合でも、提示された工事内容がそのお住まいの状態に見合っているかどうか、客観的な視点から一度見極めてみることが大切です。
