今回は、千葉県富津市にある築21年の住宅で実施した、基礎補強と床下環境の改善事例についてお伝えします。
現場は海に近いエリアに建っており、床下はコンクリートではなく土が露出している「布基礎」の構造でした。
築20年を超えると、コンクリートそのものの経年変化に加え、床下環境が基礎や木部に与える影響も無視できなくなってきます。
実際に床下に入って確認したところ、地面からの湿気と基礎表面の劣化が見受けられたため、基礎単体の補強だけでなく床下全体の環境を整える工法を選択しました。
現場でどのように状態を判断し、作業を進めたのかを実際の写真とともに解説します。
- 基礎立ち上がり部分は、引張に強い「アラミド繊維シート」を用いて面全体で補強。
- 土の床下からの過剰な湿気を抑えるため、全面に「グレートバリアマット(調湿剤)」を敷設。
- 築21年という時期を考慮し、木部を保護する「防蟻・防カビ噴霧工事」を合わせて実施。
海沿いエリアと土の床下(布基礎)が基礎に与える影響
富津市のような海沿いの地域は、年間を通して湿気を含んだ風の影響を受けやすい傾向があります。
それに加えて、今回の住宅は床下が土のままの布基礎でした。
土の床下は、地面から常に水分が蒸発して空間内に留まりやすくなります。
築21年という長い間、基礎コンクリートがこの湿気に晒され続けると、水分を吸収して中性化が促進されたり、強度が少しずつ低下したりする要因となります。
そのため、基礎を補強するだけではなく湿気による悪影響を改善する施工も行いました。
まずは劣化の進行を緩やかにするため、地面からの湿気を物理的に遮断する床下調湿剤を床下全体に敷き詰める判断をしました。
これにより、基礎コンクリートや土台の木部が過度な湿気によって劣化するのを防ぎます。
アラミド繊維シートを用いた基礎立ち上がりの補強手順
床下環境の改善と同時に、建物の重さを支えている基礎の立ち上がり部分には「アラミド繊維シート」を用いた補強工事を行いました。
部分的なひび割れを埋めるだけの処理ではなく、基礎全体を面として覆うことで、経年劣化や外部要因からコンクリートが外側に引っ張られる力に耐えられるようにするためです。
現場での具体的な作業は、以下の手順で行いました。

基礎表面の汚れを落とし、下処理剤を塗ります。
これは、後から塗る樹脂とコンクリートを強力に密着させるために欠かせない工程です。

次に保護・補強剤を塗り、その上から25cm幅のアラミド繊維シートを貼り付けます。
空気が残ると強度が落ちるため、職人が手作業でしっかりとコンクリート表面に馴染ませていきます。

最後に、貼り付けたシートの上から再度保護・補強剤を上塗りします。
これでシート全体が樹脂で包み込まれ、基礎と一体化した強固な層が完成します。

今回の布基礎の現場では、床を支える木製の束柱がたくさん立っていました。
束石の周辺や基礎が交差するコーナー部分は、シートを貼るスペースが狭く浮きやすいため、樹脂をしっかり浸透させながら専用のローラーで念入りに圧着しています。
築21年のタイミングで実施した木部の防蟻・防カビ処理と調湿対策
基礎の補強を終えた後、仕上げとして床下の木部全体に防蟻・防カビ噴霧工事と床下の湿気対策として調湿マットの敷設を実施しました。
シロアリ対策の薬剤効果は、一般的に5年程度で切れてしまいます。
基本的に新築時にシロアリ消毒は行われていますが、築21年となると、その効力はすでに失われている状態です。
どんなに基礎コンクリートを強固にしても、その上に乗っている木部が湿気によるカビやシロアリの被害に遭ってしまっては、家全体を守ることはできません。
今回は土の床下という環境も踏まえ、基礎と木部の両面から耐久性を高める施工を行いました。
よくある質問(FAQ)
まとめ:床下環境の改善と構造補強を組み合わせた対策
今回は、千葉県富津市の築21年の住宅における、基礎補強と床下環境改善の事例をご紹介しました。
建物の基礎は、表面のひび割れだけを見て判断するのではなく、「なぜその状態になったのか」という根本的な環境要因(今回の場合は土の床下からの湿気)に目を向けることが重要です。
アラミド繊維シートによる構造へのアプローチと、マット敷設や防カビ処理による環境へのアプローチを組み合わせたことが、今回の現場のポイントでした。
基礎の状態や床下の環境は、お住まいの地域や築年数、建物の構造によって一軒一軒異なります。
だからこそ、実際に床下へ入り、現在の状態を正しく見極める客観的な診断が何よりも大切になります。
