新築から4年ほどが経過したガレージハウスの外周り。
外壁サイディングの水切り下、コンクリート立ち上がりに縦方向のクラック(ひび割れ)が確認された現場です。
「まだ建てて数年しか経っていないのに、なぜ基礎が割れているのか」と困惑される方は、築浅の物件でも決して少なくありません。
車や大型機材を収容するガレージ建築は、開口部が広かったり土間にかかる荷重が大きかったりするため、コンクリートが乾燥硬化する際の収縮応力も合わさって、立ち上がり部分にひび割れが生じることがあります。
今回は雨風や紫外線に直接さらされる「外基礎」の立ち上がり部分に絞り、ひび割れ内部の充填からアラミド繊維シートによる補強までを行った施工の流れを振り返ります。
- 築4年と築年数が浅くても、乾燥収縮や建物の構造的特徴によって外基礎にクラックが入ることがある
- ひび割れの内部にはエポキシ樹脂を充填し、コンクリートの隙間を密着させた
- 基礎立ち上がり表面にはアラミド繊維シートを施工し、外側からの引張強度と保護性能を高めた
なぜエポキシ樹脂注入とアラミド繊維シートを組み合わせたのか
外基礎のひび割れに対して、ホームセンターの補修材やモルタルを表面に塗りつけるだけの処置を見かけることがあります。
しかし、表面だけを薄く塞いでも、内部の空隙はそのまま残ってしまいます。
コンクリートが再び動いた際に同じ場所からひびが割れ戻ってしまうことも珍しくありません。
今回の現場では、以下の2つの工法を組み合わせて施工することに決めました。
- クラック内部へのエポキシ樹脂注入 ひび割れの隙間に流動性の高いエポキシ樹脂を注入し、割れたコンクリート同士を一体化させる工法です。
接着力の高い樹脂が内部の細かな隙間まで行き渡るため、雨水の侵入経路を断ち、断面強度を補います。 - 基礎表面へのアラミド繊維シート貼り付け エポキシ樹脂でひび割れを埋めた後、その上から高強度の連続繊維であるアラミド繊維シートを樹脂モルタルで密着させる工法です。
鉄の数倍の引張強度を持つシートで基礎表面を拘束することで、基礎に生じる引張力に抵抗し、ひび割れの再発や開きを抑えます。
単に穴を埋めるだけでなく、外基礎としての耐久性と強度を長期的に保つために、充填と補強をセットで施工しました。
外基礎の施工手順:掘削から注入・シート貼り付けまで
外基礎の立ち上がり下部に積もっている砕石や土を掘り起こし、クラックの終端がどこまで伸びているかを確認しました。
表面の泥汚れをブラシで落とし、施工面を清掃します。

クラックのラインに沿って一定間隔でドリル穿孔を行い、注入用のノズルを取り付けました。
注入した樹脂が割れ目から外へ漏れ出さないよう、クラックの表面全体を専用のパテ剤で覆ってシールします。

パテが硬化した後、専用のカートリッジガンを使ってエポキシ樹脂を圧入していきます。
過度な圧力をかけてコンクリートを痛めないよう、低圧で時間をかけながら、奥の隙間までゆっくりと樹脂を行き渡らせました。


注入材が固まった後、基礎表面の接着性を高めるため、専用の下処理剤を下塗りプライマーとしてムラなく塗布します。

保護・補強剤を中塗りし、その上に25cm幅のアラミド繊維シートを丁寧に張り付けました。
気泡が入らないよう均一に押さえ込み、樹脂をシート繊維の内部までしっかりと浸透させます。

シート保護などを兼ねて、保護・補強剤を上塗りして表面を保護層で完全に覆いました。
塗膜がしっかり硬化したのを確認した後、最初に掘り下げていた土と砕石を埋め戻し、元の地盤の高さに均して作業を完了しました。

ガレージ外基礎のひび割れに関するよくある質問(FAQ)
まとめ:外基礎のクラックは深さと周囲の環境を見極めて処置する
今回の現場のように、築年数が浅いガレージハウスであっても、基礎立ち上がりにクラックが生じることは十分に起こり得ます。
大切なのは、地表に見えている割れ目だけにとらわれず、土中まで掘り下げてクラックの全容を確かめることです。
その上で、内部の隙間を埋めるエポキシ樹脂注入と、外側から引張強度を補うアラミド繊維シートを適切に使い分けることが、外基礎の耐久性を維持する確実なアプローチとなります。
基礎のひび割れを発見した際、業者によって「まだ新しいから放っておいて大丈夫」と軽く流されたり、逆に「すぐに全体を大掛かりに工事しないと危ない」と不安を煽られたりして、判断に迷う方は多くいらっしゃいます。
建物の使われ方や基礎の状態を客観的に見極め、必要な部分に必要なだけの処置を行うセカンドオピニオンの視点を持つことが、納得のいくメンテナンスへの近道です。
