今回は、宮城県仙台市にある築37年の住宅での施工について振り返ります。
床下の点検口から潜り込むと、長年建物を支え続けてきた基礎コンクリートの経年変化が確認できました。
築30年を超えた住宅にお住まいの方からは、「今の基礎のままで地震に耐えられるのか」というご相談をよくいただきます。
今回の現場では、床下の基礎コンクリート補強工事を中心に、外周部の保護や床下環境の整備を行いました。
- 築37年という経過年数と基礎の状態を考慮し、アラミド繊維シートを貼り付ける面補強を採用
- 施工専用の樹脂(下塗り・中塗り・上塗り)を使い分け、コンクリートと繊維シートを完全に一体化
- 床下に通っている配管周りなどの狭い箇所も、手作業で隙間なくシートを密着させて施工
築37年の住宅に見られる基礎の状態と施工判断
築37年(1980年代後半の建築)となると、現在の新築住宅で主流となっている「ベタ基礎」ではなく、当時の基準に沿って作られた「布基礎」であることが大半です。
築年数だけで「基礎が弱い」と決めつけるわけではありませんが、コンクリートは年月とともに乾燥収縮や微細なひび割れ、表面の劣化が生じます。
今回の現場でも、床下からコンクリート表面の状態を確認し、単にひび割れを埋めるだけではなく、基礎そのものの引張強度を高める必要があると判断しました。
築30年を過ぎたコンクリートは、表面のザラつきや小さな傷みが出やすくなります。
この状態に合わせて、どのような補強の層を作るかが現場での腕の見せどころです。
また、床下だけでなく基礎の外周部(外から見える部分)についても確認を行いました。
床下だけでなく外周部にも中性化抑止工事を行なっております。
これにより、雨水などの浸透を防ぎつつ、コンクリート内部の劣化進行を抑える狙いがあります。
アラミド繊維シート(25cm幅)を用いた補強工程
今回の床下基礎コンクリート補強では、高い引っ張り強度を持つ「アラミド繊維シート(25cm幅)」を使用しました。
コンクリートは上からの「圧縮」には強い反面、横からの「引っ張り(曲げ)」の力には弱いという特徴を持っています。
そこに引張強度の高いアラミド繊維を貼り付けることで、地震時などに基礎へかかる負担をシート全体で受け止められるようにしています。
施工は、以下の手順で進めました。

コンクリート表面の汚れや脆弱な部分を整えた後、下処理剤であるプライマーを塗布します。
これがコンクリートと補強層をしっかり結びつけます。

保護・補強剤を塗り、その上から25cm幅のアラミド繊維シートを空気が入らないように貼り付けていきます。

さらにシートの上から再度保護・補強剤をしっかりと塗り込み、コンクリート・樹脂・シートを完全に一体化させます。

このように段階を踏んで樹脂を浸透させることで、シートがただ張り付いているだけでなく、基礎の一部として機能するようになります。
施工の工夫:配管周りや狭小部への対応
実際の床下は、図面通りに広い空間が広がっているわけではありません。
今回の仙台市の現場でも、生活排水などを流すための太い配管が基礎のすぐそばを通っている箇所がありました。
このような障害物がある場所は、作業スペースが極端に狭くなります。
しかし、配管の裏側だからといって補強を途切れさせてしまうと、そこに力が集中して本来の補強効果を発揮できません。
職人が配管を傷つけないよう慎重に体を潜り込ませ、シートの取り回しを工夫しながら、コンクリートの隅々まで密着させるように手作業で仕上げていきました。
現場ごとの条件に合わせて、施工の質を落とさずにどう対応するかが、私たちプロの重要な役割です。
合わせて、土台の木部がずれないよう補強する金物(キソホールダー、コーナーサポート、束ジャッキなど)の取り付けも行い、基礎と木部の結合部や、荷重がかかる部分の補強を細部まで整えています。
よくある質問
まとめ:宮城県仙台市の築37年物件における施工を振り返って
今回は、築37年の住宅におけるアラミド繊維シートを用いた基礎コンクリートの補強事例をご紹介しました。
現場で実際に確認したコンクリートの状態に合わせ、表面のひび割れを隠すだけでなく、アラミド繊維シートをコンクリートと一体化させて面で支える構造を作りました。
また、床下特有の入り組んだ配管周りにおいても、途切れることなく補強層を形成できたことが今回の重要なポイントです。
基礎の状態は、築年数だけでなく建っている土地の環境や構造によって一軒一軒異なります。
もちろん住まれている方の考えや気持ちも大切になります。
ご自宅の基礎に不安を感じた際は、急いで決断するのではなく、現場の状況を客観的に見極められる専門家による診断をおすすめします。
