今回は神奈川県相模原市緑区にある、築31年を迎えた住宅での施工事例をご紹介します。
床下点検を行った際、基礎コンクリート、特に床下換気口の周辺を中心にクラック(ひび割れ)が複数確認されました。
築30年を超えると、コンクリートの乾燥収縮や経年変化によってひび割れが発生しやすくなります。
このような状態の基礎に対して、ただ表面のひび割れを埋めるだけの処置では不十分なケースが少なくありません。
今回の現場では、クラックの深部までエポキシ樹脂を充填する「穿孔注入」を先行して行い、その上から「アラミド繊維シート」を貼り付けて基礎全体を補強する工法を採用しました。
- 換気口下部などのひび割れに対し、プラグを打ち込んでエポキシ樹脂を深部まで注入
- クラック部分を内部から一体化させた後、25cm幅のアラミド繊維シートで基礎の引張強度を補う
- 床下の配管が基礎沿いを通る入り組んだ環境でも、専用の保護・補強剤を隅々まで塗布して密着
クラックへの穿孔注入が必要だった理由
今回の現場で確認されたひび割れは、床下換気口の角から下に向かって伸びていました。

換気口がある部分は基礎コンクリートの断面が欠損している状態と同じであり、構造的に負荷が集中しやすいため、ひび割れが起こりやすい定番の箇所です。
このクラックに対して、いきなり補強シートを貼ることはしません。
内部が割れたまま表面だけを覆っても、基礎自体の連続性が失われたままになってしまうからです。
そのため、まずは基礎コンクリートに一定間隔でドリルで穴を開け(穿孔)、専用の器具を打ち込みました。

そこから圧力をかけてエポキシ樹脂を注入していきます。

表面にパテを塗って隠すだけでは、内部の隙間はそのままです。
圧力をかけて樹脂を奥深くまで行き渡らせることで、分断されていたコンクリート同士をもう一度ガッチリと接着させます。
樹脂注入後にアラミド繊維シートを選ぶ判断
エポキシ樹脂の注入によってひび割れ部分は一体化しましたが、築31年という経過年数をもあり、コンクリート全体の引張強度は新築時よりも低下していました。
そこで今回は、クラックの処理を行った箇所を含め、基礎の立ち上がり部分にアラミド繊維シート(25cm幅)を施工しました。

コンクリート表面の汚れを落とし、下塗りプライマーを塗布してシートの接着力を高めます。

保護・補強剤であるを塗布して、アラミド繊維シートを貼り付けコンクリートと密着させます。

さらに上から保護・補強剤を重ね塗りし、シートを完全に含浸・硬化させます。

アラミド繊維シートは引張に対して非常に強い性質を持っています。
樹脂注入で「これ以上のクラックの進行」を抑え、アラミド繊維シートで「基礎本来の強度を補う」という二段構えの施工を行うことで、対象箇所の耐久性を引き上げました。
床下環境と施工時の工夫
今回の相模原市緑区の現場で少し気を使ったのが、基礎のすぐ横を通る配管の存在です。
写真でも確認できるように、基礎の立ち上がり面に沿うように太い金属製の配管が配置されていました。
床下というただでさえ狭い空間の中で、障害物の裏側までしっかりとシートを回り込ませ、空気が入らないように密着させるには慎重な手作業が求められます。
ローラーなどを入れる角度を工夫し、プライマーや補強剤の塗り残しがないよう、ライトで何度も照らしながら施工を進めました。
どんなに優れた材料を使っても、基礎にしっかりと接着していなければ本来の強度は発揮されません。
基礎補強に関するよくある質問
まとめ:築年数に応じた工法選びの大切さ
今回の相模原市緑区における築31年の事例では、換気口周辺のひび割れに対するエポキシ樹脂の先行注入と、アラミド繊維シートによる補強作業を中心にお伝えしました。
同じように見える基礎のひび割れでも、築年数やひび割れが発生している場所、配管などの床下環境によって、選択すべき工法や施工の手順は変わってきます。
クラックの深部まで樹脂を行き渡らせた上で、基礎全体をシートで補強するという複合的な判断が、今回の状態には適していました。
ご自宅の基礎に気になる症状を見つけた際は、一律に同じ工事を勧めるのではなく、現場の状況を正しく見て判断してくれる専門家に相談することが大切です。
